風紋、晩鐘

風紋〈上〉 (双葉文庫)

風紋〈上〉 (双葉文庫)

風紋〈下〉 (双葉文庫)

風紋〈下〉 (双葉文庫)

晩鐘〈上〉 (双葉文庫)

晩鐘〈上〉 (双葉文庫)

晩鐘〈下〉 (双葉文庫)

晩鐘〈下〉 (双葉文庫)

この『風紋』と続編の『晩鐘』は犯罪被害者の心理を描いた作品。

母親を殺された娘、夫が人殺しになってしまった妻、人殺しを父親に持つ息子。
自分は何も悪い事をしていないのにマスコミに叩き上げられてしまったり、心に傷を負って隠れるように生きている人たちの物語です。
『風紋』では事件が起きてから三年間、『晩鐘』は『風紋』の七年後が描かれてます。
乃南さんは人の心理を描くのがものすごく上手で、彼らの絶望や恐怖、理不尽さや哀しみがリアルに伝わってきます。
被害者というと一般に殺された人やその遺族という感じがするけど、犯罪を犯してしまった人側の遺族だってすごく大変な目にあうんですよね…彼らは何もしていないのに。

全体的に悲劇的な匂いがこれでもかと言うほど漂っててちょっとやり過ぎかな?とも思いますが、問題提起作品としても完成度が高く考えさせられました。
『風紋』の方に裁判のシーンが結構出てくるので法廷モノ好きな人も楽しめると思います。