家族八景

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

初めて読んだ筒井さんの作品がこれ。家庭を題材にした連作短編集です。
なんていうか、人間不信の家庭不信になりそうな本。
人の心を読めるテレパスの少女、七瀬の視点から人間の黒い部分を容赦なく目の当たりにさせられる事になるので、読む前に気合いれとかないと相当沈みます。
こんなに赤良様に人の醜い部分を描いた作品を読んだことが無かったので、初めて読んだ時はいろんな意味でショックを受けました…。
というか、世の中の家庭ってみんなこんななんだろうか。怖。
人間の陰の部分にびしばしメスを入れているのでどろどろに暗く、読んでいて辛いくらいなのに、それでも先へ先へと読まずにはいられない奇妙な魅力のある作品です。
読後感も最悪なのに何故か何度も手に取ってしまう。

この七瀬のシリーズは他にも二冊、『七瀬ふたたび』と『エディプスの恋人』が出てて、七瀬三部作とか呼ばれてるようです。
続編の七瀬ふたたびはテレパス他超能力者メイン、さらに続編のエディプスでは宇宙意志が出てきて相当スケールの大きい話になってます。最後のエディプスだけちょっと毛色が変わってて、私は微妙だなと思ったんですが、三冊とも年に何度か読み返してしまう不思議な作品。